毎回同じ様な写真ばかりでなんだか申し訳ないのですが、いつも見ていてくださる皆様、ありがとうございます。前回の続きになります。エンデューロに適した、良いサスペンションを一セット作ってみたかった、という話です。
インナーチューブは04のSX・EXC用のものです。スライドブッシュの数が多いこのタイプは、体感的に初期作動が良い気がします。現行に比べて、カチッとした動き方で、剛性感とも違と思うのですが、シャープなフィーリングが出せるのではないかと思い、ずっと使っていました。
今回、このインナーチューブにチタンコーティングをして更にフリクションレスを狙ってみました。SXSのユニットでは、フォークのインナーチューブは当然ですが、リアショックのインナーロッドにも施されています。先に行ったお客さんのバイクに乗ってみたのですが、効果は絶大だと思いました。
シムを好みの並びに組み付けます。基本的にはオープンカートリッジで試してきて、これは良かったなー、と感じた方向にしました。池田さんや大川原君のフォークも同じような積層にさせてもらっています。それぞれでセッティングは変えていると思うのですが、結構良い感じみたいです。使ってもらうライダーのレベルが高いので、このフォークは更に少しだけ工夫したつもりです。
ちなみにライダーは田中太一君です。彼とは今年のJECでは同じパドックでずっとやっているんです。見た感じバイクはドノーマルで、乗り込んで現行でのベストを出しているみたいでした。ライディングはみなさんも知ってのとおりキレキレで、ほんとスゲーっすよ。なのでもう少し安心して攻められて、出来たら更に良い結果が出ると良いんだけどなーと考えて、お願いしてみたしだいです。快く受けてくれたので、嬉しかったですね。
太一君のライディングはテクニックは当然のごとく有るに決まってるのですが、結構パワーライドな印象(僕から見て、です)で、基礎体力もあるので、自分が乗って良いと感じる物より更に固めにセットしました。サスペンションのスプリングもノーマルよりワンレート上げています。ちょっと固すぎるかな?とも感じますが、問題はテスト区間でどれだけ攻められるかですので、そういった意味ではやってみる価値は十分で、感想がたのしみですね。
ちなみに、菅生や九州でセッティングをみせてもらったときは、全体的にストローク感のあるサスペンションが好きなのかなぁと感じたのですが、このフォークは真逆の方向なんですよね。このあたりもどんな感想なんでしょうか・・・。
ダストシールです。品番によって1リップと2リップがあります。たまたま手持ちで1リップのパーツが無かったので、カッターで切り落としました。
自分のフォークはいつも1リップ製を使うのですが、やっぱりゴミが入りやすいですので、お客さんに仕事の依頼を受けた時は大抵2リップを使っています。その方がリスクが少ないですよね。メンテナンスのサイクルは長いのに越した事はないと思います。
ただ、こんなのでもフリクションの低減にはなりますので、このフォークは当然1リップにしました。
このフォーク、ちょっと古めのカートリッジを使っていますので、リバウンドアジャスターのニードルはこんな部品です。WPの4357フォークと4860の06モデルまではこれを使っていました。水分で錆びて固着し易いパーツです。OH時に分解してクリーニングしておかないとサビサビになり、リバウンドアジャスターが回転しなくなります。みなさんもこんな経験した事があるのではないかと思います。07以降はこういったトラブルはまず有りません。きれいに洗って組み付けましょうの絵ですね。
組みつけが終わり、実車に取り付け作動確認をします。ちょっと手間なのですが、完璧に組み上げても動きの悪いフォークも中にはあって、心配なので毎回行う作業です。実際もう一度OHし直すケースも時々あるんです。
こう見ると、きれいに仕上がった感じで、ドキドキしますよね、WPのステッカーも新調しましたよ。うんうん。
リアショックは春先に購入した、教材のSXSショック。やっぱり太一選手の250EXCFとライディングにあわせたセッティングにやり直しました。
SXSショックのノーマルのシムの積み方だとさすがに固いかな?と思って、それよりも柔らかめにセットです。この辺りも池田さん(SXF)のショックのデータとか自分の125SXで行ってきたデータをもとに行いました。フォーク同様、ショックスプリングはノーマルよりワンレート上げです。SXSショックではノーマルのレートになります。
とりあえず、前後作ってみて既にテストしてもらったのですが、なんだかまあまあ良い感じみたいです。何点か指摘はありましたけど、それに対するイメージは僕もすぐに出来たのですが、とりあえず現状のままでも行けそうだ、という内容でしたので、全部任せてしまう事にしました(笑)。時間もあまりないですし、あとは微調整でホンチャンですね。
話は変わって今度は自分のバイク。結局フロントフォークのセットに一番時間をかけました。
あれだけの作業をしてきて、この辺りで現状のベストだろーといった内容をお話しすると、まずは油面を大幅に上げました。そしてスプリングをワンレートソフトに変えました。おわり。みたいな結末なのです。なんとも大雑把で、笑えますよね。
実際はダンパー側、リバウンド側のシムも変更しているのですが、もう少し勉強しなくちゃなんですね。次回のマシンにこの辺りは持越しです。そうは言ってもなのですが、希望していた固い平らな路面の接地感はかなり良くなりましたし、嫌なフィーリングだった底付きの悪さは完全に消せました。
再度、次回です。
最後にエンジンに関してなのですが、150に変更してから取り付けてみたフライホイールのウエイト(8オンス)、これがなかなか(かなり)良いですよ。150の回転の落ち込みのタイピングと、僕のアクセルを開けるタイミングがぴったり合ってる感じで、パワーが更に出たフィーリングになりました。実際にはそんな事はないんですけどね。
なので、種類も何種類か出ていますのでいろいろ試してみたら面白いと思いました。150を購入予定の方にはおすすめだと思います。
このエンジン、そうは言ってもなかなか手強い面が多くて、固い路面だとトルクの出かたが急激で僕のレベルではなかなか難しいんです。どちらかというとサンドの路面やマディーに合っているのではないかと思います。もう少し緩やかにトルクが出てくれた方が扱いやすいんですけど。
その辺りを踏まえて、新しいチャンバーをマリオスポーツさんにオーダーしているんです。これが手に入れば、僕の150SXも完成です。
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