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13モデル

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 納車準備の風景を書きたいと思います。

 車両はフサベルです。ここ何年か、僕のお店でもフサベルを選んでくれるお客さんが増えてきていて、この車両は2013モデルの一発目の車両となります。フサベルを最初に触れたのは97モデルの確かFE400って車両でした。勿論当時はKTMの輸入元に勤めていたので整備したりって事はしませんでしたが、仲の良い友人がなぜか(当時はあまりよく知らないマシンで珍しかったんです)その車両を購入して何度か乗らせてもらいました。

 その頃KTMはまだLC4エンジンが乗っかっているエンデューロモデルが主流(スーパーコンペとかSXCとかって時代です)で、随分大きな車体のコンペモデルしかありませんでした。当時フサベルを乗った時は小さいエンジンと車体にびっくりしましたよ。同じ時期にYAMAHAの400がツインカムになってこれも高性能だったんですが、外車好きの僕にはやっぱりフサベルの方が好印象でした。今考えるとFE400のエンジンは、KTMのEXCRのエンジンにとっても似ていましたね。EXCRの初年度は2000モデルからでしたので、随分早くリリースされていたんですね。

 現行のKTMやフサベルには全く関係ない昔話なのですが、僕の印象では2000年以降もフサベルっていうメーカーのイメージは、KTMよりも先に新しいシステムを試しているんじゃないかなーって思います。シリンダーが縦割りのエンジンもあったし、最近では前傾のエンジンもありましたよね。

 今年のモデルは、2サイクル、4サイクル共にKTMとほぼ同じエンジン、車体となっているようです。外装が違うっていうのは置いといて、今年のフサベルは写真でもわかるように、樹脂製のサブフレームっていうのが特徴的だと思います。

 いろーーんな意味で今後とっても期待の出来るメーカーだと僕は思ってます。車体を見ると、とっても走りそうなオーラが見えませんか??

 今回書くのは、箱から出してエンジンをかけるまでに行っている納車準備ってところです。とは言え…いままでもニューモデルが出る度に何度も書いてきた内容になってしまいますので、結構退屈なところも有ると思いますがご勘弁くださいね。今回もこの辺りは見ておいたほうが良いかなあ…ってとこを紹介していきたいと思います。

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 ステムベアリングです。分解してみるとこんな感じで、ちゃんとグリスは付いていますが、もう少ししっかり行います。ステムの締めトルクも合わせて点検するのですが初期の状態ですと少しゆるいかなあと感じますのでトルク管理も合わせて行っています。

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 余計なお世話的内容になるのですが、マスクバンドって結構外れたりすると思います。カウルがプラプラになってしまうのを防止するためにタイラップで固定をしておきます。

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 ワイヤリングします。かなり強力な接着剤でくっついているのですが、やっぱりこれをしておかないとすっぽ抜けてしまいます。まあ雨の日に新車をおろす人は皆無だと思いますが(僕はあんまり関係なくやっちゃったりするのですが)、過去にワイヤリングを忘れて出かけていったときがあって、水が入ってグリップが回ったり抜けそうになったりした事がありました。結構こわいですよ。

 ですのでそんなお客さんのために(笑)行います。

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 スロットルグリップです。本来はゴムカバーが付いているのですが、外します。

 これもそーとー余計なお世話な作業なのですが、ゴムカバーってなんかいいことあるのかなあって思うからです。たまにめくってみるとダストはいっぱいたまっているし、ワイヤー廻りのメンテナンスをする時は邪魔になりますし、レース中のトラブルの際とかクイックな作業に支障をきたします。外しておいてもホルダー内に水が入ったりって事はありませんので、ちょっとお勧めかなあと思います。

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 キャブレーションをチェックして、その時の気温に合ったセットで納車しています。初乗りでエンジンが調子悪いとがっかりしますよね。最初はヨーロッパの排ガス規制に合ったセットがされていますので、いずれにしても行う作業になると思います。

 キャブのブリーザーホースも二本上に上げます。行き先はクリーナーBOXになります。エンジンの上でも良いのですが、最近のモデルはクリーナーBOXにスペースが沢山あって収めやすくなっているので、こっちのが良いかなってことでそうしてます。

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 いまさらなのですが、これってTE250です。KTM250EXCも同様に排気デバイスのブリーザーホースがダウンチューブに入っているんですよねー。洗車でダウンチューブ内をジャバジャバ洗うとこのホースからジャバジャバエンジン内に水が入っていきます。だいぶ戴けませんので、ホースは水が入りにくそうな場所に逃がしておきます。

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 作業は中盤辺り(車体の真ん中)です。以前はブレーキペダルのプレートの先端をカットしていました。転倒とかでペダルを横から押した時にプレートの尖った部分がケースを破損したりする事があるからです。

 今はタイラップをペダルに巻いています。尖っている部分より内側に張り出しますので先にケースに当たり、破損を防いでくれるんじゃないかなあと思います。どうでしょう??。

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 スタンドのオートリターンを解除するボルトは最近のモデルにはちゃんと付いてくるんですよねー。助かっちゃいますね。

 ネジロックをしっかりつけてボルト交換します。

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 シフトペダルのボルトは絶対緩みます。最初に締め直しておくとステッププレートがへたへたになるまで緩みませんよ。とはいっても時々は増し締めしておきたいボルトですよねー。

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 フロントスプロケットのガードです。先端部分をカットします。

 油圧クラッチのシリンダーがスプロケットの前に付いていて、この辺りのスペースってかなり狭いです。泥掃けを良くするという目的で行っています。ほんのわずかですが結構役に立つと思います。泥や割と大きな石が噛みこんでクラッチシリンダーを壊すくらいならまだ良いのですが、更にひどい場合はエンジンケースまで壊してしまいます。

 でもそーは言っても新品のプラスチックパーツをいきなり切ってしまうので、この辺りはよく知っているお客さんですとか、了解を得たお客さんのみの作業です(笑)。

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 キックアームを外してグリスアップしておきます。お約束の作業です。結構錆びてしまう箇所で、キックアームが抜けなくなってしまうのを防止します。

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 キックアームボルトも、シフトペダルのボルト同様に最初からロックタイトが付いているのですが、念のため再度塗りなおして取り付けます。

 やっぱりたまに見ていないと緩むボルトです。このモデルはセルが付いていますので、キックアームが脱落してもキュルキュルポンでエンジン始動できるのですが、キックアームって結構高価なパーツです。無くしたくないです。

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 何だかんだ言ってもこのモデルはプラグが外しやすくなったっていうのが一番嬉しいかも(笑)です。KTMは12モデルでフレームが変わって作業しやすくなったのですが、やっぱり11モデルまではプラグキャップがフレームにぶつかってすごく抜きにくかったですし、取り付けにくかったです。いったいどんな設計してるんだろう??ってのが何年も続いていました。

 相変わらずタンクを外さないとプラグ交換できないと思いますが、そんな作業はいくらでもやりますよってとこですね。

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 フューエルタンク内です。新品のタンクなのですが、ゴミだか何かの粉だかがいっぱい入っている場合があります。ガソリンを入れる前にエアーで吹き飛ばしたり、ガソリンを少し入れて洗浄したほうが良いかもしれませんね。キャブ車でしたらまだそんなにトラブルは無いと思いますが、FI車両でこんな事があるといきなり故障ですみたいなことになるかもしれません…

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 チェーン調整のボルトです。今年のモデルはKTMもフサベルも全部の車両が全くグリスが付いていませんので、是非見ておいて下さいね。

 頻繁に乗ってよく洗車する人でしたら、一年後にはボルトが抜けなくなってしまうかなあ。

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 作業も終盤で、スイングアームベアリングのグリスアップをします。ベアリング自体にはグリスが付いているのですが、シールのリップ周辺にはちょっと足りないかなあと思います。リアタイヤ、リアショッを外して、スイングアームピボットボルトを抜くだけで作業が可能です。最初に面倒な作業をしておくと、一、二年後にもっと面倒なベアリングの打ち変え作業が必要になるシーンが減ります。

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 作業が全て終了してエンジンを始動した時、見事にキックアームが樹脂のサブフレームに接触して戻らない事に気がつきました。セルでかければよいのですが、冷間時はキックの始動をお勧めします。このモデル(KTMも)、セルモーター関連のパーツってかなりシンプルな構造をしていて、あんまり耐久性が良いとは言えないんじゃないかなあと思うからです。去年のモデルもいくつか故障して修理しました。

 ほんとに温間時、もうどーしようもなくセルボタンを押したいって時のみ使うってのがベストなんでしょうけど…そこまでは無理ですよね。でもその位の感覚が良いと思いますよ。

 で、サブフレームを少しだけ削りました。だって仕方なかったんですよぉー。

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 完成です。かっこいいですよねーー。前後ともフェンダーがなかなか尖った形状で良いとおもいます。エンジンはKTMと同様で、サスペンションはフォークがWPの4CS、ショックがPDSです。これも一緒ですが、去年のモデルはフサベルの方がやや柔らかめなセッティングでした。今年はどんなでしょうね??

 確か97年にジョエルスメッツがMXの世界GPでチャンピオンだったと思うのですが、あの頃から随分イメージが変わったなあと思います。今では2サイクルもラインナップされて、今後がやっぱり楽しみですね。

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 話は全く変わって、今年から採用されたWP.4CSです。お客様より早々ローダウンのご依頼があって作業の機会に恵まれました。

 WPのニューフォークって事ですのでかなりテンションがあがりますよねー。ほんと簡単なのですが、作業風景をどーーぞ。

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 まずトップキャップを緩めます。見た事が無いフォークでしたので、あらかじめ専用ツールを購入しました。

 キャップはアウターチューブから外すだけにして、写真を撮り忘れたのですがボトムを緩めます。

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 全て分解してみました。シムの積層を念のためチェックするという事と、ローダウンを行うにあたり確認しなければならない箇所がありました。

 手にとってそれぞれのパーツの役割を確認している間に撮りましたのでいきなりカートリッジ全体の絵になってしまったのですが、これがずどんとそのまま外れてきます。勿論オイルは抜いてくださいねー。この状態から分解していきますので、作業的にはやりやすい構造だと思います。

 フォークスプリングのプリロード調整もしやすいので、この辺りも好感が持てました。

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 やっぱり今年から新採用のSKFオイルシールです。去年まではブルーの配色だったのですが、レッドに変わりました。性能はどーなんでしょうか???

 カラー自体は赤より青の方がかっこよいと思うのですが、問題はどっちが滑るかなんですよねー。次回にでもテストですね。

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 このフォーク、分解するのにどれもこれもクランプする必要があります。それぞれ外径が異なっていて、前から持っていた工具と新たに準備したものそれぞれで、初めての作業では仕方ないのですが、なかなか作業が進みませんでした。

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 全て分解してみました。シムの積層を念のためチェックするという事と、ローダウンを行うにあたり確認しなければならない箇所がありました。

 手にとっていろいろ見てる間に撮りましたので、なんだか雑然と並んでしまっているのですが、すみません…

 ぱっと見て、左右それぞれにニードルとその受け側のシリンダーが有る事と、カートリッジの中段にオイルを溜める部屋があるのが今までのオープンカートリッジとは違った箇所になります。オイルロックをさせる機能を増やしたってとこですね。

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 結局これだけ工具を使いました。クローズドカートリッジと違い、窒素管理する必要もありませんので、オープンカートリッジ同様に作業は進められるのですが、工具を多く使う分少しだけ面倒ではありますねー…

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 組み立て作業に入るのですが、一箇所注意することがあって、左右それぞれのニードルの中にバルブがそれぞれ入ります。この向きに注意して組み立てるってのがポイントになります。間違えると両方リバウンドになったり、逆に両方コンプレッションになったりします。

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 あとは分解した順に組みつけていけば良いのですが、オイルの入れ方が変わってるんですね。最初にボトムからほとんどの量のオイルを入れます。圧縮してエア抜きをした後蓋を閉じて…

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 残りのオイルを上から入れて完成というわけです。

 今回はご依頼通り、通常のオーバーホール作業とローダウン作業を行いました。僕自身が乗ってみてからになるのですが、いずれより良い方向にモデファイしていく事になると思います。まずは体感してみて、そして乗り込んで、考えたいと思います。僕のマシンはいつ到着するのでしょう…

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 最後に一つ。WPのクローズドカートリッジのパーツになります。MXコースを頻繁に走る方なら体感した事は有ると思うのですが、このモデルはフルボトムの時のフィーリングが今一歩だと思います。カッコーンって入ってしまいその後振られるってことはありませんか??。その辺りを改善したいと思って作りました。

 ノーマルパーツと同じような形状ですが、寸法違いです。以前にも紹介したオイルロックピースも同様で、この付近のフィーリング向上を狙っているのですが、これの方が更に効果が出ました。今後、このパーツにあわせたリバルビングをおこなっていく予定ですが、結構思い切った事が出来るんじゃないかなあ、と期待しているんです。

 いろいろやらねばならぬ事が多いのですが…僕のマシンも近日入荷予定らしいですし、今後が何かと楽しみです。

2012.10.11.
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