2014モデルに入れ替えました。今年は久しぶりにKTM125EXCを選びました。125を購入するのはなんだか久しぶりです。
前回の125は10モデルの125SXでした。このマシンは今も良く思い出せるのですが、とっても良いマシンでした。エンジンは当然KTMなんで、下から上までスムーズでパワフルでした。今となっては一個前の車体になるのですが、サスペンション、フレーム共に素晴らしかったですよ。
自分の教材として使っていたので、途中で150ccキットを組んでみたりしたマシンです。1シーズンで二台分楽しんだ感じですね。排気系をいろいろ試したり、まだ勉強し始めのクローズドカートリッジをあれやこれや試してみて得られた事が沢山ありました。
この時思ったのですが、次に125を買うときは普通のEXCを買って、125ccって排気量とEXCのクランクでよりレーシーなのを作ってみたいなあって感じました。やっぱこのエンジンケースにはこれが一番合っているような気がしたんですね。
それで今年の夏辺り、前乗っていたフサベルがエンジンメンテやサスペンションメンテナンスで長い事乗れない時期があったのですが、この時お客さんの車両にいろいろ乗らせてもらいました。で、一番面白かったのが125EXCだったんですよ。結構何処で乗っても面白かったので、久しぶりに買ってみるかなーって思って選んでみました。
この排気量の良いところは、しっかりスロットルを開けて乗れるところです。250ccほどトルクも無いですし、また150や200ほどのピックアップもありません。でもこの比較して非力なところが良いんです。コーナーの手前、大きな排気量ではなかなか開けられないポイントでも既にアクセルが開けられます。出口でシフトアップが上手くできればエンジンは伸びますから大きな排気量にもしっかりくっついていく事が出来ると思います。まあどこでも全開〈気分ですけどね)ってとこですよ。
大きな排気量のトルクを上手く使って乗るのが好きな人、それとは反対にエンジン回転をあげて回転トルクで走るのが好きな人とそれぞれだと思いますけど、いろいろ乗ってみると自分がどんなタイプなのか解ると思いますよ。
今回も相変わらず新車セットアップの様子になります。過去何回も書いていますので自分でも飽きてきているんですが、いつもと少しは違った風景を見ていただければといったところです。何年も同じことをやってますので、過去の記事でも違った絵づらがあると思います。暇な人は振り返って見てみてくださいね〈笑)。
組みあがった車両で見直す順番はフロント廻りからリアに向かってって毎回作業しています。グリスアップ、ワイヤリング、要らないパーツの撤去、切断(笑)、交換とか……最後に眺めてうっとり。って流れです。
今回、雑記内での順番は適当に並びますが、まずはキャブレターから。内容はキャブレーションを今の気候に合わせる事と、ブリーザーホースの先端のカット、後は水没対策で二本ホースを上に上げるのですが、その取り回しをし易くするって作業を行います。
ベースセットがしっかりマニュアルに書いてあるKTMってやっぱり最高だと思います。かなり使えるセット表です。日本の気候だと、冬はそのまま参考にして良いと思います。夏はこのデータよりも薄くセットするのが良いかなあ?と思います。ヨーロッパよりも湿度があるからだと僕は思ってるんですが、如何でしょう??。
後は好みですね。僕はわりと下を濃い目にして上を薄くします。下がピンピンのエンジンはあまり好きではなくて、程度もありますがボワーっと上がっていって濃いのを上まで引っ張るってのが好きなので、です。
ちなみに現在はDの針で四段、パイロットスクリューを一回転開けてMJは172ってセットです。
関連してプラグを交換します。最初に付いてくるプラグは結構かぶりやすいと思います。125なんてまずかぶらないエンジンなんですが、そのまま使っていて何度か期待を裏切られた事がありました。
交換するのはBR9EG。これで十分だと思います。前にKTMファクトリーの工場で見たことがあるんですが、レース前に意外にしょぼいプラグをセットしていてびっくりした事があります。あれは何かの間違えでは無かった、と思いますけど……
最初に確認しておくとこれがベースになりますので、エンジンをOHするたびにエンジンヘッドから特殊工具でフラップの位置決めなんかしなくても良くなります。まあ最初からずれてセットしてある場合は話は別ですけど、まず125のエンジンなら信用してもよいかな、と。フラップの位置って乗ってると意外にずれてしまうんです。
乗って右側はチャンバーを外したついでに見ています。左からでも行うのですが、フラップを吊っているボルトを好みの締め付けにします。
吸気関連で重要な点。新車で箱の中にじっとしていた車体ですのでオイルも垂れてしまうんじゃないかなあと、念のためオイルの塗りなおしをします。フィルターオイルはツインエアーをいつも使っています。
クリーナーをセットする時、フィルターを押さえる金具(サポートって言うんですか?)が収まり難くて不便だなあと思うときは、受けの金具をぎゅっと広げます。
ぎゅーーっと広げると壊れるかもしれませんので、ぎゅです。
フロントブレーキパットの割りピン。これは絶対お勧めというか、やっておいた方が良いかなと思います。
レース使用や、山の中で暴れまわるライダーの割りピンって結構へろへろになっていて、場合によっては無い〈笑)時もあります。恐怖ですよね。
クラッチホースを固定します。油圧クラッチホースはあまり自由にさせておかない方が良いと思います。適当にどこかでこすれっ放しになっていて穴が空いてオイルが漏れたことがあります。
タイラップとチューブでエンジンハンガーに固定しました。チューブはワイヤーとハンガーの間にセットして、直接接しないようにします。
アクセルワイヤーなんですが、去年から右側を通ってくるようになりました。右側からフレームの下(IGコイルの脇)を通過してキャブに入ります。
なんか不自然に思えて、僕は大抵の場合左側を通します。極力すっきりとセットするっていうのが良いです。何かにひっかかるとエンジンが全開になったりして危ないからです。
右から通るのは多分スロットルワイヤーが長くなって、バーパットに引っかかりやすくなったからかもしれません。純正のバーパットのひし形ってのもどうかなあって思います。何か別のに交換が良いんでしょうね。
最初の写真のボルトは、チェーンアジャスターボルトとリアブレーキマスターシリンダーの固定ボルトです。定番ですが、チェーンアジャスターボルトはグリスをしっかりと。マスターシリンダーのボルトはロックタイトを軽く。それぞれ重要です。
シフトペダルのボルトも脱落し易いです。長いボルトに換えてっていうのも方法なのですが、作業時間も長くなりますので(笑)、同じ長さのものにロックタイトを塗って締め付けます。今年からボルトが変更になっているのですが、固い材質を使っているのか心配でしたので、去年までの固い材質のものに念のため交換しました。もし柔らかいボルトで、締め付けてる時これが中で折れたら一仕事になってしまいます。
キックアームの取り付けボルトにもロックタイトですね。それに対してキックシャフトのスプラインにはグリスをたっぷり塗ります。
写真は無いのですが、サブフレームに外装を固定しているボルトにも片っ端からグリスを塗りたいです。結構錆びやすい箇所で、受けのナットは大抵サブフレームに埋め込まれていますので、錆びて供回りとか始めるとホントに悲しくなりますよね。
これもお約束です。ちょっと面倒なのですが、欠かせない初期のグリスアップです。
クラッチカバーの破損防止で、ブレーキペダルのプレートをカットしています。
こんなんで随分カバーを保護出来ると思うんですよねー。
後は好みでってところなんですが、リアスプロケットをアルミタイプに交換しました。SIXDAYSモデルですのでステルス〈歯の部分がスチール)になりますが、ちょっと重いのが気になるところで……まあ小さなことなのですが、軽量化のためです。
レバーの遊びを反対側に取りました。レバーがいつも手元にセットされる事になります。SXはこのタイプになります。保安部品(ブレーキSW)があるEXCシリーズは手前に遊びを作っています。
最初に乗ったときなんですが、KTM125ってもっと低速があった気がしたのと、なんだからしくなくて、すっきりと燃えない(回転していない)フィーリングでした。後、これが一番の理由なんですが、他のお客さんの車両でボイセンに不具合があって分解してみたとき、しょぼい作りしてるなあ(笑)って思ったからです。フィーリングと分解点検してみた感想でこれは間違いなくVフォースに交換する価値があるなって思っての交換です。
Vフォースに交換してのフィーリングなんですが、全体的にきれいに回るようになって、パワーも確実に出たと思います。でもこれがKTM125の本来なんでしょうけどね……
今年このモデルを購入されたお客さんへパワーアップアイテムとして最初にお勧めしたいのがリードバルブですね。
セットアップの最後にサスペンションのセット位置の点検を念のため行います。
フォーク、ショック共にマニュアルの標準位置にぴったりでした。毎年しっかりセットされていますので、ほんと流石だなあと思います。
WPのサスペンションは慣らしに結構時間がかかると思います。暫くはこれをベースにしっかりと乗り込んで行くって事になりますね。
14モデルにまともに乗っていないのにいきなりかよ、って思うかもしれませんが、4CSに関しては自分なりに去年から調べ物をしていて、まあまあ根拠があることと、最初にこのモデルに乗ったときの印象でわりと感触がつかめましたので、テスト用(まっちゃんありがとう)の4CS(13モデル用)で組み換えを行いました。
14モデルのインプレになりますが、やはり4CSの進化が一番大きいと思います。発表前から今年のEXCは全体的に大きく変わるって期待していたのですが、実際みてみたら外装パーツが変更になっただけでかなりテンションが下がったんですけど(笑)、まあ4CSがとても良くなっていましたので勘弁してやるかな(すみません)ってところです。フルモデルチェンジの楽しみは来年にとっておいても良いですね。
去年ずっと気になっていたフルボトム時の嫌な衝撃は全く無くなりました。信頼できるフォークになりましたねえ。
また元々軽量のサスペンションでこれがやっぱり強みだと思います。相変わらずとっても操作し易いと思います。
去年の4CSは全体的にスッコンスッコンに動くフォークでメリハリが無くて作動状況がわかり難かったのですが、今年のは初期作動、中間から奥までの感触がわかり易くなって気分的に安心して走行出来ますね。とっても重要な事だと思いますよ。
やっぱりメーカーさんってすごいなあと思いました。今までのオープンカートリッジやクローズドカートリッジとは明らかに違う動きをしていて、新しい提案をしてくれたのかなあって感じさせてくれるフォークに仕上がったと思いました。
ひとまず、変更になった4CSのパーツの解説など二、三点、解る限りなのですが解説などしてみたいと思います。
肝はこの二点ですね。オイルロックをさせているパーツです。ストップって呼ばれるパーツ(筒型のパーツ)のオイルの流れが変わっていて、オイルが流れる量が少なくなっています。エンドの部分にシムの積層があるのですが、去年のとは比べられないほどがっちり積まれています。
このストップってパーツに入っていくのがニードル(赤と白の弾丸みたいなパーツ)で、ストロークが大きくなる程オイルロックに近付いていくって構造になると思います。このパーツの形状も変更になりました。新型フォークの良くなった点ってほとんどこの辺りに尽きるんじゃないかと思います。
見てのとおりスプリングなのですが、このショートスプリングが何処に入っているか説明するのが面倒(笑)ですので役割だけ説明しておきますと、初期作動を左右させています。今年のはこれのバネレートが固くなりました。ということは初期作動は固くなっているはずです。パーツの品番では何故かメーカーからの取
り寄せが出来ませんでしたので、新品のフォークからサンプルを取って作ってみました。写真右が14用で左が13モデル用となります。
ですが、今回のモデファイ用のフォークでは結局このスプリングは交換しませんでした。理由は色々あるのですが、まずは新型を乗ってみてのフィーリングです。良い動きはしているのですが、コツっていう固さがあるんですよね。初期を良く動かしたいという狙いで従来のソフトなショートスプリングを選びました。
あとはフォークスプリングとの兼ね合い。14の2サイクルモデルは全般的にフォークスプリングが1レート柔らかいバネに変更されています。多分ボトムフィーリングが良く改善されたので、柔らかいバネが可能になったんだと思います。
固いショートスプリングに1レートダウンのフォークスプリング??ってとこなんですが、今回は両方柔らかいバネを使って、初期作動をより良くすることにしました。各々のスプリングのチョイスに関しては今後の課題となります。14モデルでは車種によってこの組み合わせが異なる場合があるんですよ。
去年から自分なりに試してきたシムの並びにしました。新型4CSフォークをもう少しゆったりとした動きに変えたいと思います。
13年モデルではボトムフィーリング以外はまあまあ上手くセット出来ていたと思います。ですので、14モデルの改良パーツの変更に加えてテストしてきたシムの並びを合体させました。さてさて、どんな結果が得られるかってとこですね。
これはコンプレッション及びリバウンドアジャスターのニードルです。ダイヤルを回すとこのパーツが通路を狭くしたり広くしたりして固さを調整しています。
今年のは寸法が少し大きくなっています。1クリックが解りやすくなったはずです。
テストの感想はと言うと……ノーマルフォークと比較して、ノーマルフォークの慣らしがまだしっかり出来ていないって事をふまえての結果なのですが、良く出来たと思います。最初にしてはとても納得できました。
でも何よりもなのですが、今回の一連の作業で4CSの構成パーツがどんな役割をしているかって事を体感できたのが一番の収穫でした。更に走ってみて慣らしをしっかり終えた頃、もう一段踏んで行きたいと思います。
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